「炭砿から観光」ガイドブックには載っていない旅を
|は|じ|め|に|
日本の近代化産業は明治時代に始まりました。それは西洋の技術を学び、追いつき追い越せの勢いであり、絶えず改良に改良を積み重ね、今日の技術立国を樹立しました。この過程のなかで技術の成果となる施設は絶えず更新されてきました。
したがって、施設が使われなくなると「残骸」や「異物」として放置されるか、あるいは潰されて新たな施設に生まれ変わりました。このため、気が付くと、明治時代以降の蓄積を再発見する機会はほとんどなくなりました。
しかし、昔の街並みが懐かしさと原点を探す視点から脚光を浴びるようになると、鉱工業においてもこの考え方が広がってきました。近代化の過程を振り返るには恰好の素材となり得るからです。
いわき市においても、石炭産業の名残があちこち残っていますが、これまでは「遺物」の域を出ることはありませんでした。しかし、街並みがそうであったように古ぼけた「遺物」は「遺構」、さらに「遺産」に変換される要素はあるわけです。
これをいわき市においても再発見して輝きを持たせ、市の新たな活性化にむすびつけ、いわきを訪れる人にも知ってもらおうとするのが、この試みなのです。さあ皆さんも遺産づくりや遺産めぐりしながら、古くて新しい「いわき」を味わってみませんか。